類型ごとの処分の軽重の傾向
1 行政処分に対する基本的考え方
医師・歯科医師は、生命の尊重を旨とする医療の担い手であり、患者に対して良質で適切な医療を行うよう努めるべき責務があることから、医師・歯科医師に対する行政処分は、厳正に行われるものとされています。
そして、医師・歯科医師に対する免許の取消や業務の停止については、その事案の重大性や医師・歯科医師として求められる倫理観や国民に与える影響等に応じて個別的に判断されますが、一方で、その判断は公正に行われるべきであるとして、一定の考え方に基づいて処分内容が審議されています。
医師・歯科医師に対する行政処分が公正に行われるため、司法における刑事処分の内容を参考にしつつ、その上で、医師・歯科医師に求められる倫理に反する行為については、より厳しく判断されることになります。
例えば、(1)医療提供上の義務を果たしていない場合(診療録の虚偽記載等を含む)、(2)医療を提供する機会を利用した場合、(3)業務以外の場面においても他人の生命・身体を軽視する行為をした場合、(4)医業・歯科医業を行うにあたって自己の利潤を不正に追求する行為をした場合には重い処分が想定されます。